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艶画小説『曼珠沙華の女(まんじゅしゃかのひと)』・プロローグ

月岡圭一郎 作 ポルノグラフィックノベル第二弾「満珠釈迦の女(まんじゅしゃかのひと)」掲載開始です。
昭和45年、青森の温泉街に父親と二人で暮らす画家志望の高校生・雄一。そこへ突然東京から叔父が妖艶な女・幸子を連れ添って現れる。雄一と幸子が織りなす切なく甘い官能物語であり、画家・田村雄一のサクセスストーリーでもあります。乞うご期待!。

        一

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「雄一、そろそろ駅さ迎えに行ってけろ!」、一階から父親の大声が。雄一は面倒くさそうに絵筆を置いた。
「したども、民雄叔父とは何年も会ってねえから、分かんべか?」
「ん、女連れで青森にはいねえ格好しているだろうから直ぐに分がるべよ、傘持ってけよ」
 雄一は、雨の中、駅に向かった。特急はつかりの終点青森駅のひとつ手前の麻岸駅は閑散としていた。夏休み、ねぶた祭り、年末年始の期間以外は、無人駅に等しい。
 待合室に入ったら、駅員の鈴木が、
「おいユウイチ、誰か来んのか?」と声を掛けた。
「うん、オジキが来んだよ」
「えっ!、タミオが来んのが!」
鈴木の顔がこわばった。そう言えば、鈴木は叔父とは中学の同級生だった。
 ベージュ色の特急はつかりが向こう側のホームに到着した。階段を渡ってくるまでにしばらく時間がかかる。
「雄一、民雄は何しに来んのだ?」と鈴木。
「ワ(俺)はよぐ知らねえけど、オヤジさ相談があるってことださ」
「相談かあ、なんだか、良ぐねえ雰囲気すんなあ」
「よぐねえ雰囲気ってなんだ?」
「まあまあ、おめえは民雄にはあんまし関わんじゃねえぞ」
 そんな会話をしていたら、改札にサングラスを掛けてアロハシャツにチノパンの民雄と、レモン色のワンピースの女が現れた。鈴木が改札で切符を受け取って、
「民雄でねえか、久しぶりだなあ、東京から女房連れて来たんか」と声を掛けた。民雄は、
「しゃしねえ(うるせえ)!」
と鈴木の頬をピシャッと叩いた。そして雄一に気が付いて、
「おお、雄一か。デカくなったなあ」と肩を叩いた。
「甥っ子さんね」と女が言った。
「おお、兄貴の息子の雄一だ、青森一の秀才なんだぞ」
「雄一くん、よろしく、サチコです」と女は雄一の手を取った。
「さ、行くべ、なんだ雨か」
民雄は雄一から傘を受け取りさっさと歩き始めた。幸子は駅前の風景をしばらく眺めて、
「ずいぶん古い旅館があるのね、老舗って感じだね」
と駅前正面の建物を指差した。
「あ、麻岸館です。明治からやっていて、天皇陛下も泊まったんですよ」
雄一は緊張しながらも懸命に説明した。
「ふ〜ん、泊まってみたいわね。荷物持ってくれる」と幸子は雄一から傘を受け取った。
 幸子が差す傘に入れられながら雄一は重い荷物を両手に抱えて家へ向かった。幸子が雄一が濡れないようにと身体を寄せる。今まで嗅いだことのない花のような甘い匂いを全身から発している。学校の美術部の原田先生とは違う匂いだ。
「幸子、早く来い!」
民雄は早くもうちの前に着いている。もっとも、家は駅から一分の距離だ。
看板を見上げる幸子。
「『おみやげ 田村屋』、ここね、君んち」
「君んち、じゃなくて俺んちだよ」と民雄。
「兄貴ぃ、来たぞー」
民雄は店を抜けて奥の居間へドタドタと入って行った。
「素敵なお店ね、アイスクリームも売ってんだ」
と幸子はホームランバーを冷凍ケースから取って、居間へ入って行った。
「幸子、こっちさ来い。兄貴、これ幸子だ。しばらく世話んなっからよろしく。いい女だべ」
「あ、雄造です。よろしく」
「ユウゾウったって、加山雄三とは似ても似つかねえだろ、アハハハ」
「あんただって、川地民夫とは似ても似つかないじゃないか」
「しゃしねえじゃ、あ、おめえ、店からアイス持ってきたな、兄貴にちゃんと金払えよ」
「いいって、雄一、民雄にも一本持ってきてやれ」
「兄貴、ワラシじゃねえんだからよ、雄一、ビール持ってこいや、いいべ兄貴」
「いいぞ、雄一、ちゃんと150円貰えよ」
雄一は店の冷蔵ケースから瓶ビールを持って民雄の前に置いた。
「これやっから、コップ二つとスルメでも持ってこいや」
と民雄は雄一のワイシャツの胸ポケットに千円札を押し込んだ。
「それにしても、幸子さんはマリリン・モンローみてえだな」
雄造はニコニコしながら幸子にビールを注いでもらった。
「んだべ、青森にはいねえ女だ。池袋のキャバレーでコキ使われていたのをオレが拾ってやったんだ」
「一緒になんのか?」
「まあ、いずれな、ここにいる間は家の世話させっから、何でも言ってけろ」
 民雄はスルメをかじりながら幸子の横顔を見た。
「それにしてもよ、姉様が死んで何年になる?、不自由してんだべ兄貴よ」
「ん〜、もう十年だな。娘の静子には苦労かけた」
「おお、静子は東京さいるんだべ、一度もワさ会いに来ねえなあ」
「おめえみてえなのに世話になる気はねえべな」
「ずいぶんだな、まあ、それもそうさな。新橋の大学病院の看護婦だかんな」
「へえ、そうなんだ」と幸子。
「母親の死に様見て、看護婦になったんだ。吉永小百合みてえな純真な娘でよ。どっかのマリリン・モンローとは違うわな、アハハハ」
「ヒドいね、あたしもビール飲もうっと、雄一くん、ビールもう一本とコップひとつね」…。

         二

こうして一見和気あいあいの再会であった。叔父はどう見ても普通の仕事をしているとは思えないし、幸子さんって人も、いわゆる「飲み屋の女」の典型であった。髪の毛を黄色に染めている女なんか、麻岸はもちろん、青森市内にも滅多にいない。親父はところどころ迷惑そうな顔をして叔父の話を聞いている。昼間のビールに不安を紛らわせているようだ。
 僕も、幸子さんをチラチラ見ながら、叔父のヨタ話を聞く振りをしていた。
「雄一、お前、来年東京の大学さ行ぐのか?」
「それがよ、絵描きになりてえってぬかしてやんだよ」
いつもの親父のボヤキが始まった。
「へえ、絵描きかあ、食えねえ商売だな」
 叔父がアロハシャツの袖をまくり上げた。シャツの柄より派手な入れ墨が見えた。
「あら、いいじゃない、やりたいことがあるのが一番よ。雄一くん、油絵描いてんの?」
「はい、たまに水彩画も」
「ふーん、後で見せてね」
「幸子さん、焚き付けねえでけろや」
「うんうん、オナゴはロマンチックでいけねえ、兄貴と話があっから、雄一よ幸子に絵でも見せてやってけれ」
「はいはい、行きましょ」
と幸子さんが立ち上がった。
「二階です」と僕は幸子さんを促した。
先に階段を上る幸子さんの大きなお尻にはうっすらと青いパンティーが透けていた。ゴチャゴチャの僕の部屋。
「いいわねえ〜、高校生の部屋、窓から海が見えるんだあ、雨だけど風情があるわね。島があるのも素敵ねえ」
と窓辺に座った。映画のワンシーンみてえだ。逆光で、ブラジャーとパンティーがはっきりと見える。
「ここからの風景も沢山描いているんですよ」
と僕は以前描いた油絵をゴソゴソと取り出して並べた。
「んん〜、いいんじゃない、でもわたしはこの絵が好き」
と幸子さんが指差したのは、額に入れて飾ってある静子姉ちゃんを描いた鉛筆画であった。
「お姉さん?、お母さん?、それとも?」
 僕にとっては姉ちゃんを描いた絵であったが、そこには死んだ母ちゃんも、原田先生も、同級生の恵美子への思いが込められた絵であった。
「人物画の方が才能あるみたいね」
「あ、そうだべか、幸子さんは絵のこと分かるの?」
「昔、売れない絵描きと暮らしていたことがあってね。絵はたいしたことなかったけれど、能書きだけは大先生だったな」
 幸子さんはケタケタと笑った。
「その人、どうなったんですか?」
「漫画家のアシスタントになったのよ。女の子を描くのが上手だったんで、漫画家先生に替わって女の子の絵ばっかり描かされていたわ。そのうち、得意の能書きもタレなくなってつまらない男になって別れたわ」
「ボクもそうなってしまうのかな?」
「あら、夢を壊すようなこと言っちゃったね。そんなことないよ、あの男より雄一君は才能あるよ」
「ええー、本当に!。嬉しいなあ、ヤル気出てきたなあ」
「うん、そのためにはこんな田舎にいてはダメよ。東京で挑戦しないと」
「そうですよね、でも、親父がなあ、あと、美術の先生もなあ」
「お父さんは分かるけれど、その美術の先生は何と言っているの?」
「ええ、成績もいいんだから、弘前の大学行って美術の先生になればって」
「はあ?、分かってない先生だね。田舎教師が言いそうなことね」
「あ、悪い先生じゃないですよ!」
「お、怒ったね。もしかして、その先生って女だろ」
 僕は真っ赤になった。
「ひとつにはね、その先生は、雄一の才能と野心を分かっちゃいないのさ。もうひとつは、大学へ一人でも多く入れさせるのが高校教師の仕事なのさ」
「でも、原田先生は、青森でここまでの絵を描ける生徒はいない、と言ってくれています」
 幸子さんは、手を叩いて大笑い。
「青森の子供の中では優秀ってことだろ。君もそれで、天狗になってんだ?」
 僕は、怒りで手が震えた。
「去年の全国学生美術展でも佳作に入って、上野の美術館にワの絵が飾られたんだ!。原田先生も凄く喜んでくれたんだ!」
「原田先生、喜んでくれたんだねえ。まあまあ」
 と幸子さんが、僕の握り拳をポンポンと叩いた。
「でも佳作かーい?、その上には入選、入賞、銀賞、金賞だのってあるんだろ?」
「そりゃそうだべな」
「君より絵の上手い高校生は、何千人、何万人もこの日本にはいるんだよ。世界中では、君の絵はどうなんだろうねえ」
「馬鹿にすんだったら、もういいですよ!。ワの部屋から出て行ってけろ!」
「ふうーん、わたしみたいなズベに言われたくらいで怒ってどうすんの!。君の夢はそんなにモロいの?。原田先生の言いなりになって田舎教師でガキにゴッホはどうだのと能書きタレる毎日を過ごすか、親父の跡を継いでお土産屋のオヤジになって日曜日に寂れてゆく田舎の風景を描いて歳とってゆくのね。その程度なんだ、雄一の絵の情熱って」
 最後に情熱と言われて僕はグサリときた。涙が溢れて、自分が描いた油絵をパレットナイフでズタズタに切り裂いた。
「おいおい、何してんだ!。幸子、おめえが何か言ったんだろ」
と民雄叔父が部屋に入ってきた。そして、僕の手を掴んだ。
「雄一、女に何か言われたくらいで、そんなことすんじゃねえ」
「オジサンよ、なんでうちに来たんだ?、こんな女連れて帰ってくれよ!」
「こんな女だってえ?」
幸子さんが僕に平手打ちした。
「甘ったれの田舎小僧が!、悔しかったら東京出て来て、自分の才能がどんなもんか確かめてみろってんだよ!」
「東京さ行かなくたって絵は描けるよ!、あんたに何が分かるってんだよ!」
「まあまあ、来たなり、喧嘩すんじゃねえよ。幸子、ワラシからかってねえで、下の部屋の掃除でもしてくれや。洗濯物も溜まりに溜まってっからよ。雄一も手伝って仲直りしてけれや」
と民雄叔父が幸子さんの尻を叩いた…。

幸子さんと部屋の掃除をしたり、雨も止んだので、洗濯物を干していたら、なんとも言えない懐かしい思いがした。母ちゃんが生きていた頃、姉ちゃんが家にいた頃を思い出した。
「雄一くん、さっきはゴメンね。わたし言い過ぎたよね」
 庭で洗濯物を干しながら幸子さんが言った。幸子さんが背伸びをする度にワンピースの脇からブラジャーが見える。僕は何も言えず、幸子さんに篭から洗濯物を渡した。あ、僕のブリーフだ。平然と白いブリーフを吊るす幸子さん。ポンポンと前の膨らんだ部分を叩いた。
「好きな女の子いるの?」
「え?、別に、そういうことは」
「そういうこと?、大事なことじゃないの、東京の高校三年生は皆セックスの経験あるみたいよ」
「みんなですか?」
「そう、みんな」
 嘘だな、いくらなんでも。
「わたしが青森にいる間に、わたしの絵を描いてくれる?」
「はい、いいですよ」
「もちろん、ヌードよ。ヌードのデッサンなんかしたことないでしょ?」
「石膏デッサンは沢山したけれど」
「石膏?、あんなもの何万枚描いても意味無いわよ。生身の女の裸を描けば描くほど、絵は上手になるのよ」
「そったなことはないでしょ」
「バカね、ダ・ヴィンチだって、ピカソだってヌードを沢山描いているでしょ」
「はい」
「まあ、わたしが言いたいことの意味は今の君には分からないだろうけれど、原田先生が、君の才能を本気で伸ばしたいって思うなら、自分のヌードを描かせるはずよ」
「まさか、そんなことを先生が」
しかし、僕は密かに先生のヌードを想像で何枚もスケッチしている。
「でしょ、だから先生の言いなりになってはダメなのよ」
「また、そういう話になるんですか?」
「まあ、冷静に考えてごらんなさいね。わたしは雄一くんの味方だから」
親父には殴られたことはあったが、女の人にビンタされた経験など無かった。幸子さんのビンタは優しかった。叩かれたという感触ではなく、頬をフンワリと撫でられた感覚であった。そして、僕が日頃抱えていた不安をいとも簡単にグサリと貫いてくれた。こんな人を僕は待っていたのかも知れない・・・。

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第一章「刺青」へつづく。。。

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テーマ : 18禁・官能小説
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Secre

ご無沙汰しております♪

僕達のブログに
いつも温かいコメントを頂き

女将共々感謝しておrますm(__)m

青森県を舞台に津軽弁の会話の小説

楽しく拝見させて頂いております(*^^)v

寒暖の差で体調を崩されないよう

健康にご自愛くださいね♪



Re: ご無沙汰しております♪

コメントありがとうございます。
小説もお読みいただき光栄です。
津軽弁の会話、分りやすい範囲で表現するのが楽しいです。
劇中の麻岸温泉は、言うまでもなくご夫妻も行かれたことのある浅虫温泉がモデルです。
絵にある風景も、私が子供の頃に見た記憶を元に描いておりますが、現在は随分変わって
いるでしょうね。
小説はあと二、三章続きます。ごゆっくりお楽しみください。
プロフィール

月岡圭一郎

Author:月岡圭一郎
普段は普通の(?)絵を描いている画家ですが、セカンドワークとして艶画も描いています。ちょっと昭和な成人漫画調の水彩画を気ままにアップしてゆきますのでご覧下さい。昭和の雰囲気漂う挿絵入り官能小説(艶画小説)も書いております。そちらもお楽しみ下さい。
私は女性の官能美を探求していますが、性癖はノーマルですのであしからず(笑)。
ブロともリクエスト、相互リンク大歓迎です。

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